猫の多頭飼育崩壊(その2)

猫の多頭飼育崩壊について、前記事「猫の多頭飼育崩壊(その1)」で実例を1つ紹介しました。
私の家の近所ではほぼ同時期に2件の多頭飼育崩壊が起きました。
その2つめのケースについて書かせていただきます。
前記事から読んでいただけると、幸いです。

近所で起きた多層飼育崩壊 ケース2件目

私の家の近所では猫の多頭飼育崩壊が2件あります。
今回は2件目の事例を紹介します。

多頭飼育崩壊がほぼ起きつつあったお宅の方が、
猫をすべておいて引っ越してしまったのです。
このお宅は長年に渡って、多頭飼育しておりましたが、田舎なので半外飼いの状態でした。
衛生的にも猫が安心して生活できているとは言いがたいお宅で、飼い主の方がいたころから、猫が家出していくようなお宅でした。

昔、妊娠していたそのお宅の猫が、
我が家に助けを求めにやってきたことがありました。
十分な栄養と安全な出産、育児の場所を求めていた様子でした。
私の家の窓や戸は基本開放的でした。
空腹なら盗んでいけば良いだけのことです。
ところが、その猫は食事をもらうだけではなく、
家の中で休んでいくのです。
とても賢い猫でした。出産まで我が家で生活し、
出産間近に姿を消しました。
それから1ヶ月とちょっと経ち、
子猫が自分でご飯を食べられるようになった頃、
子猫をつれて現れました。

ちょうど同じ頃、飼い主の家では、その賢い猫が産んだ雌猫が初産を迎えようとしていたのです。
同時期に出産となると、環境が良くないと判断した親猫は出産と育児にふさわしい場所を探し、
子猫を託せる家を猫自ら探したのです。
その猫の賢さに感服です。

当時の我が家には、
野良猫に餌を分けてあげるような優しい犬が1頭、
通常はプール付きの小屋で飼育していたアヒルが2羽いました。
人間にはあまり吠えない我が家の犬は、ヒナのアヒルが庭を散歩しているときに野良猫が来れば吠えるほど優しい犬でした。
自分の犬小屋の近辺で、子猫が遊ぼうと気にしませんでした。

子猫をつれて現れた猫は、我が家に押し入ることはなく、軒下を借りるような形で、授乳し、庭で遊ばせていました。
外にいる分には別にいいだろうと、親猫と子猫に餌をあげるようになりました。
我が家の人間たちと距離が縮まり、子猫たちは人なつこい猫になり、我が家の家猫として、
子猫たちが家の中で生活するようになったのを見届けて、母猫は自分の家へ帰っていきました。

それからもずっとそのお宅の猫は増え続け、別の猫屋敷に移住する猫もいたでしょう。
このお宅でも20匹近い猫がいました。
ところが、猫をおいて引っ越してしまったのです。
初めのころは、朝晩、餌を持ってきていました。
しかし、だんだん朝晩ではなくなり、来る時間も人間の都合でまちまちになりました。
住んでいた家と土地は荒れ、草や木が生い茂り、
軒下にダンボールと毛布とゴミがあるだけ。
ドライのキャットフードを山のように皿にもり、
「餌はちゃんとあげている」と主張していました。

しかし、シケたキャットフードをおいしいと食べる猫はいるでしょうか。
新鮮な飲み水がないところで、猫が生きていけるでしょうか。
守ってくれる人間のいないところに、猫が住んでいるでしょうか。
猫たちは散り散りに、安全な居場所を求めて出て行きます。

崩壊する直前、前回の記事で書いた猫ですが、
今から数年まえ6匹の子猫を連れた猫が現れ、
我が家の飼い猫になり室内で生活するようになった頃、
今度は我が家の敷地内に建ててあるプレハブのところに、1匹の子猫を連れた別の母猫が現れたのです。
母猫は人間をあまり信用していないようでした。
人間に気づいたらプレハブの床下に隠れるように子猫をしつけていたのです。
プレハブにつけてある大きめの軒先で雨風をしのいでいました。
母猫は子猫を残し、食事をとりに家に帰っているようでした。
子猫にそろそろ離乳食が必要になったころ、初めて母猫が食事を要求してきたのです。
「子猫にご飯をください」と鳴いているのがわかり、子猫が食べられるよう食事を作って、そっと置いておきました。

その後、完全に飼育崩壊した家へは戻ることなく、その親子は我が家で暮らしています。
そしてその母猫はちゃっかりとさらに子猫を2匹産んで、4匹家族として我が家にいます。
しかし、その間にも飼育崩壊した家から子猫を卒業したくらいのサイズの猫が3匹現れ、つい最近は5匹のやっとあるき出した子猫を連れた母猫が現れ、
我が家の庭には大量の猫が・・・・

先に住んでいた4匹家族は戸惑いを隠せません。
4匹のうち2匹は十分な成猫。
自分より小さな猫や弱い猫がご飯に割り込んできてしまっては、譲ってしまいます。
餌をとられないように、人間がつきっきりで餌をあげても、10匹以上の猫がごちゃごちゃ集まってきては手に負えません。

引っ越しした家の方には、餌をきちんとあげるよう伝えました。
我が家に移動してきてしまっている猫にもきちんと餌をやって来ないようにしてくれとお願いもしました。
家に戻らないようなら、我が家の敷地内でご飯をあげてくれともお願いしました。

しかし、全く効果はなく・・・・

この猫の量ではご近所へも相当の猫が流れているでしょう。
クレームも上がりそうです。

我が家で飼うことにした4匹家族に餌をあげても、食べられてしまい、餌にかかる費用は非常に負担です。4匹家族の他の猫たちはあちこちでいたずらをして、エアコンの室外機のパイプがボロボロにされたりなったり、ボイラーの外回りの配管をボロボロにされたり、植木鉢の植物はいたずらされ、ハーブのプランターはトイレとなり・・・

猫もかわいそうだけど、犠牲になってる人間がいることに気づいてほしいものです。

猫の多頭飼育崩壊(その1)

画像がはいります

近年はいままでにない猫ブーム。
猫を飼う人が増え、猫カフェが人気を集め、
猫が駅長になってPRなど、猫の経済効果は大きくなっています。

幸せそうな猫の映像をたくさん目にしますよね。
その一方で悲しい出来事もたくさん起きています。
そのことを知って欲しいので、書きます。

多頭飼育崩壊とは

多頭飼育崩壊(たとうしいくほうかい)とは、
「ペットの動物を多数飼育した飼い主が、無秩序な飼い方による異常繁殖の末、飼育不可能となる現象。」
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

猫を完全室内飼いにする慣習のない田舎では、比較的起きている悲しい出来事です。

近所で起きた多頭飼育崩壊 ケース1件目

私の家の近所では猫の多頭飼育崩壊が2件あります。
1件目の事例を紹介します。
飼い主が死亡。飼い主がいたときは外飼いとはいえ、専用の小屋があったり、冬には炬燵が用意されていました。
気性の荒い犬(中~大型犬)も飼育しており、子猫を襲ってしまうため、
敷地を区切り猫が襲われないよう策を講じた上で、犬を放し飼い。
しかし、飼い主が死亡し、空き家になってしまうので、息子夫婦が入居し、犬は係留して飼育されるようになり、
外飼いの猫は、捕まえられる猫には去勢や避妊手術を受けさせました。
子猫で親猫が分からず放置されてしまった乳児2匹は人工哺乳で室内で飼育することになりました。
とはいえ、全部で20匹を超える猫がいました。
多数が近所へ散り散りになりました。

そのころ、我が家には6匹の生まれて数時間の子猫をつれて雌猫が現れました。
母猫はおそらく体の成長程度から推測するに、大きくみて1才。小さく痩せ細っていました。
その体で6匹もの子猫をどこかで生んだのでしょう。
猫は出産したところに長くはとどまりません。
出産時の匂いや汚れが残っており、雄に襲われる可能性があるため、数時間で引っ越します。
子猫は大きさに個体差があり、母猫も栄養状態が悪そうなので、我が家で一時的に保護することにしました。
ところが、人間に見つかってしまったため、母猫は子猫を別の場所へ連れていってしまいました。

我が家でも猫を飼っていたことがあるので、猫の習性は把握していました。
農村地帯なので、人間が来ないところがたくさんあるのに、常に人がうろうろしている我が家の物置にきたということは、
人間に慣れていて、人間に助けて欲しいと思っているということだと私は判断しました。
母猫に餌を用意し、話しかけてみました。
「赤ちゃんはどこにいったの?」「ご飯あげるから、赤ちゃんと一緒に戻っておいで」
そう話しかけ続けると、餌をもってこっちにこいと私を誘導するのです。
すると、別の猫の多層飼育崩壊して飼い主が引っ越してしまった家の玄関先に山積みになっているドライのキャットフードのとなりのお皿で食べるというのです。
その皿ではゴキブリが食事中だったので、その皿の隣に持っていた皿ごと餌をおき、
「食べたら、子猫を連れてくるんだよ」
そう言って私はその場を離れました。
すると、1時間もしないうちに、
母猫が子猫を我が家の物置に運んできている様子でした。
途中でのぞいたら、取り残される子猫がいるかもしれない。
はやる気持ちを抑えて朝まで待ちました。
朝、物置を覗くと、きちんと子猫を連れて戻ってきていました。
物置には竈(かまど)があるのですが、竈のなかに子猫を隠しているので、すすにまみれていますが丸見えなのです。
下手に手を出すとまた子猫をつれて出て行ってしまう可能性があるため、見て見ぬふりをしました。
すると数日でまた子猫を物置の別の隠れられるところへ引っ越しました。
子猫たちはそんなことはお構いなしで、よたよたと歩くようになり、新米の母親の手に負えなくなりました。
彼女なりに考えたのでしょう、母猫は狭いところで子猫を縦に積み上げて縦に座った状態で授乳するようになりました。
残念ながらその状態を続けた結果、1匹の子猫が命を落としました。
子猫の発育も悪く、母猫の育児も上手でないので、
ダンボールのなかでの育児を教えてあげました。
ダンボールからよじ登って出てこられる程度に成長した子猫は、そろそろ離乳が可能そうですが、
抵抗力がないのか、皮膚病にかかっていたため、
母乳の他に哺乳瓶でミルクをあげ、朝夕の消毒をし、どうにかみんな元気に育ってくれました。
哺乳瓶を卒業し、自分でご飯が食べられるようになった子猫たちのうち、皮膚病がきれいに治った3匹の子猫は里子に行くことができました。
母猫と残った2匹の子猫は我が家で飼うことにしました。
数年たった今では、子猫のうちの1匹だけが大きくなって残っています。

野良猫に餌をやるのはいけないことなのですが、
我が家の近所には猫の多頭飼育崩壊が2件あり、大量の猫がいます。
飼い主はほぼいないといえます。
しかし、近所の人たちはとても親切で、それぞれの家に居着いた猫を家猫として飼育してくれたり、居着きはしないけれど、ご飯をもらいに来る猫に餌を与えてくれたりしているようです。

我が家でも、多頭飼育崩壊から逃げてきた猫たちに関するストーリーがいくつかありますが、今回はこの辺で。。。

次回は、もう1件の猫の多頭飼育崩壊について書きたいと思います。