「うつ」と「うつ病」はちがいます

突然ですが、私はうつ病を患って13年がたちます。
うつ病を患ってから、それを隠したこともありました。
最近ではうつ病は100万人を超えるともいいます。

しかし、ちょっと落ち込んだりすると「うつかも」とか「うつだ」といって
自分の今の辛さを表現する人が結構います。
軽々とその表現をつかう人をみると、「うつ病」で悩み苦しんでいる私はとても辛くなります。
「うつ病」で苦しんでいる人は他にもたくさんいるでしょう。
きっとその人たちも同様に辛くなるでしょう。
簡単に「うつだ~」といって気持ちが表現できるなら、こんなに苦しい病気にならないで済んだのに。
そう思えてならないのです。
一方で、「出かけていたから、あの人は『うつ病』じゃない。」
「笑っていたから『うつ病』じゃない。ずる休みだ。」
と、「うつ病」を患っている人を仮病のように扱う人もいます。

「うつ病」が現代病としてテレビで特集を組まれることが増えたからでしょうか、
「うつ」という言葉が一人歩きしているように感じられます。

  • 何かに傷ついて落ちこむ気持ちを「うつ」だから病気だと思っている人はいませんか?
  • 「うつ病」は何もできない病気だと思っていませんか?
  • 「うつ病」は気合いでどうにかなると思っていませんか?

「うつ病」について正しく理解し、「うつ」と「うつ病」が違うこと、
「うつ病」がどんな病気なのかを知ってもらいたいと思います。

「うつ」とは

「うつ」とは落ち込んだり、泣きたくなるほど辛かったり、食欲がなくなったり、
眠れなくなったり・・・
誰にでも起こり得る感情とその「ゆううつ」な気分が起こす症状のことです。
医療では「抑うつ気分」または「抑うつ状態」「うつ状態」と言います。

そしてこの症状は「うつ状態」「うつ病」どちらにも起こります。
症状を見ただけでは、それが一時的な「うつ状態」なのか「うつ病」なのかは
医師でもわからないそうです。
そのため、病院にかかると何度か通院しないといけなくなります。

「うつ病」とは

では「うつ病」とは何なのでしょうか。
それは「うつ状態」を起こしている原因が違うということです。

普通、人間が「ゆううつだ」「悲しい」「泣きたくなる」などの症状がでるとき、何かしら原因があります。
人間関係、仕事での出来事、いろいろなきっかけがあります。
そして、そのきっかけから時間がたてば、自然とその症状は和らぎ、消えていきます。
しかし、「ゆううつだ」「悲しい」「泣きたくなる」などの感情が、「眠れない」「食欲がない」など身体的な症状がでているとき、「うつ状態」という診断がでます。

「うつ病」はその「うつ状態」になるきっかけがあったり、なかったりします。
「うつ病」と呼ばれる時には、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、自分の意思では自分の身体や感情を、どうにもできない状態になってしまいます。
そのため、抗うつ薬などで継続的に治療が必要です。

まとめ

「うつ」と「うつ病」についてご理解いただけましたでしょうか。
・「うつ」は健康な誰でも起こりうる人間の感情の状態のこと
・「うつ病」は、「うつ状態」を伴う、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れてしまう病気

認識不足によって、「うつ状態」の人が思い悩み悪化しないように、
「うつ病」の人が理解不足の人の言葉に傷つかないように、
多くの人が正しい知識をもって、理解してくれると幸いです。